「Cute Aggression」東ひかり誕生日記念shortstory

※2023/08/22にグーグルドキュメントで公開した物の再掲になります。


「Cute Aggressionの赤色担当!頭の先から足の先までアイドル!東ひかりです!今日は夏フェスに来てくれてありがとう!!そして、たくさんのお誕生日おめでとうのお言葉をありがとうございます!!!」 

 今日は都内で行われているアイドルの夏フェスの1日目。有難いことに、「Cute Aggression」は1日目のトリを任せていただいた。 そして、タイミングよく私の誕生日が重なった。ファンの人が赤いペンライトを沢山光らせてくれている。いつになく眩しい。 誕生日ということでメンバーのみんな、スタッフさんのご好意で、1曲ソロで歌うことになった。 「知ってる人はもしかしたら多分少ないかもしれませんが、私は小学生の時からアイドル活動をしています。」 思い返して目を閉じる。走馬灯のように思い出される昔のこと。

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 小学6年生の頃にいわゆる【地下アイドル】のとあるグループに所属した。1番年下は私。1番上のお姉さんは中学2年生。そのグループが所属する事務所は他にも、20歳代のお姉さんが所属するグループもあって、そこそこ大きかった。 

 物心ついた時からアイドルになりたかった私は、毎日毎日歌とダンスの練習に励んだ。テレビで見ていたアイドルさんたちとは違って大きな会場で満員のお客さん…!!なんてことは全然なくて、閑古鳥がないていた。 自分の実力が無いせいだ、もっと頑張らなきゃ。そう思っていたけれど、他のメンバーはこう言った。

 「遊びの延長だしさー。来てくれる人も本気で応援なんてしてないよ。」

「どうせ大手には勝てっこないしさー。」

「ひかりは夢見すぎー。」

 それだけじゃない、お姉さんたちも同じようなことを言っていた。

 「私たちは、結局頑張っても【ここ】止まりなんだよ。期待しすぎて、夢見すぎて苦しくなるんだよ。ひかりちゃん。」

 今見えている光景だけならそうかもしれない。 でも、本当なのかな。 自分から手を伸ばしきれてないだけなんじゃないのかな。なんでそこで諦めちゃうのかな。 私には分からなかった。 

 そうこうしているうちに、グループは全部解散した。事務所は名ばかりのものになり、所属するアイドルは私だけになった。その時、私は中学3年生。高校受験の年だった。 

それでも、私は絶対に諦めたくなかった。 配信アプリでイベントに参加したり、ライブハウスさんで歌ったり、もちろん高校受験もそれなりには頑張った。

 「Cute Aggression」が軌道に乗ってきた頃、親から当時かなり心配していたことを聞いた。まあ、そりゃそうだよね。それでも応援してくれた親には感謝だ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 

 「地下アイドルとしてグループ活動を経て、ソロ活動をしながらオーディションを受けて、合格して今の事務所に入りました。」 

 苦しいことがなかったわけじゃない。悲しいことがなかったわけじゃない。なんとかなるさ!とずっと思っているから「楽天家」「世間知らず」とかとか思われたり言われたりしたことだってあるしね。

 「私がずっと前を向くことが出来る理由、それはファンの皆さんの応援があるからです。そしてなにより。」

 すぅっと大きく息を吸って、はぁーと大きく吐いた。 

 「私はアイドルとしてここまでやれるだけの事をやってきた。私はそんな頑張ってる自分自身を可愛いと思う。その頑張りが、アイドルとしての可愛さが、皆さんに幸せを届けられるくらいに。だから、これからも頑張るので、応援よろしくお願いします!!」

 勢いよくお辞儀して、正面を向き直った。 そう、私の夢はここで終わりじゃない。次はみんなで、フェスの最終日の大トリを飾るんだ。他にもやりたいことがたくさんある。だから私はこれからも前を向く。 

 「それでは、東ひかりのステージを楽しんでいってくださいね!!」        

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